2023.11 PRIM’ HOLSTEIN FRANCE 100 ANS Le CONCOURS
プリム・ホルスタイン フランス100周年 コンペティション
プリムホルスタインフランス(PHF)の創立100周年を記念した行事として、第15回世界ホルスタインフリージアン会議(WHFF会議)が2023年11月21・22日にフランスで開催され、記念行事のメインイベントとして、会議終了後の23・24日にスペシャルなショウが行われました。

・開催地 フランス西部のテーマパーク Puy Du Fou(冬期間休園の施設利用)
・出品牛繋留所/酪農関係資材機材ブース/ミルキングパーラー 仮設
・数千人の観客が収容できる大劇場がショウリング
・フランス全土から247頭の出品

参観者はセキュリティチェックのあるエントランスを通過後、出品牛繋留所と資材機材展示ブースが混在する大型テントに導かれる









審査は初産の最若齢牛から始まりました
未経産牛のカテゴリーは無い?
ヨーロッパの共進会(ショウ)は一般的に未経産牛のクラスは無く、「出産し、乳器が出来てミルクを絞る。それが乳牛である」という説明を以前に受けていて、このショウも未経産牛のカテゴリーは有りません(確か、ジュニアとは初産牛…)。
出品区分は日本や北米のように月齢(年齢)の範囲を基にしたものではなく、産次数を基にして月齢でクラスが区分されています(小さめのショウリングに11~14頭毎に月齢の若い順に出場)。
各カテゴリーと出品牛
各クラスをまとめた3つのカテゴリーはいかにもフランスらしいお洒落なネーミングです。
・初産牛がESPOIR(エスポアール、直訳:希望)
・2産牛がJEUNE(ジュンヌ、若人)
・3産以上がADULTE(アデュルト、成人)
・赤白斑紋牛はROUGE(ルージュ、口紅)
出品名簿には667頭の記載も実際は初産から7産まで全247頭の出品。(内、赤白斑紋牛が16頭)
長命連産
赤白斑紋牛を除いた中で1番多いクラスは初産の69頭、次に2産の64頭、3産45頭、4産22頭、5産14頭、7産11頭、6産6頭です。初産と2産はともかく、3産以上の出品が多くあり、乳器の状態や肢蹄、体貌などに経年の衰えを感じるものは少なく、牧場・牛舎でしっかり働いているだろうと想像できる牛ばかりでした。世界的なテーマになっている長命連産への対応がかなり進んでいると理解しました。
初産のESPOIRから3産以上のADULTEまで、総じて胸が広く深く肋が開張した、こころもちローセットに見える牛が多く、肢蹄と歩様が優れ、後乳房の幅が広く付着の高いものが多数出品されていました。



グランドとリザーブグランドチャンピオンはどちらも産次を重ねた成牛でしたが、肢蹄と乳房の状態が素晴らしくチャンピオンにふさわしい雄大な牛でした。


お面白いかも?!
各クラスの審査は、ファーストピックアップからセカンドピックアップへと進み序列が決定しますが、注目するのファイナルラインナップで並んだ牛の先頭から3頭は3位までの順位は確定していますが、この時点ではどの牛がトップかは分かりません。全頭が整列したのちに、ジャッジから審査講評が行われ、1位、2位、3位と牛の尻が叩かれました(先頭に並んだ牛が3位のクラスもあり、4位以下は整列する際にジャッジが寸評していた)。
当然に、上位3頭のリードマンは最後まで緊張のなかで牛を見せ続けています。見ている私達参観者も同様に最後まで注目せざるを得ません。この繰り返しが全クラスで23回もあり、さらに各カテゴリーのベストアダーとチャンピオンの決定審査もあり、会場に詰めた参観者は十分すぎるほどショウアップされた進行を大いに楽しんでいました(しかし… 疲れました)。
ショウの見始めはこのやり方が何とも馴染めませんでしたが、クラスが進むにつれて最後までトップが解らない展開が面白くなり「これは相当に面白いかも?!」でした。





この後、乱舞するスポットライトと怒涛のドラムミュージックと参観者の大歓声に包まれて決定!

魅せるショウ 他に無い審査とスペクタクル
ジャッジはフランスの酪農家2人で、1人はROUGEとADULTEを、もう1人はESPOIRとJEUNEを担当し、相談する場面もありましたが基本1人で審査を行っていました。グランドチャンピオンの決定はジャッジ2人揃ってグランドとリザーブ2頭のリードマンとハイタッチを行いました。クラスの序列やチャンピオンを決定する時の審査講評は、ジャッジ2人とも強い口調でたたみ掛けるように言葉が進み、それに呼応した参観者の歓声が加わって会場全体がヒートアップしました。
クライマックスのグランドチャンピオン決定審査では、2人のジャッジはそれぞれ5分以上もかけて挨拶と講評を行いましたが、言葉の端々で参観者から拍手と足踏みと大喝采が起き、どんどんボルテージが上がり、まるで何かのエンターテイメントを鑑賞しているかのような感覚に陥りました(スマホでジャッジの同時通訳を試みましたが歓声が大きすぎて途切れ途切れで意味不明… フランス語が解れば、私も一緒になって拍手と喝采を送ったのかもしれません)。
その後、ステージライトとスポットライトが縦横無尽にリングを駆け巡り、華やかでリズミックなドラム音楽が鳴り響くなか、ジャッジは3,000人に迫る参観者に手拍子を求めて格別の雰囲気を醸し出し、リードマンへのハイタッチでグランドとリザーブのチャンピオンを決定しました。決定の瞬間、歓喜が怒涛のように打ち付けられ、スタンディングオベーションがいつまでも続きました。



おわりに
PHF会長のメッセージに「他に無い審査とスペクタクルを組み合わせたフランススタイルのショウは、WHFF世界会議の外国人訪問者を魅了するでしょう!」とありました。まさにその通りのショウ演出に魅せられて、1日目は午後から5時間、2日目は終日の9時間、時間が経つのをすっかり忘れて過ごした2日間でした。
-White-
